(取材日:2011年12月7日)
◆田峯観音に参拝がてら、名物・大五平餅をいただく。
さて、田峯城をあとにして次に向かった先は、ここから徒歩約10分の「田峯観音(谷高山 高勝寺)」。こんもりした小山のなかに佇む古刹で、三河三観音のひとつに数えられています。
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田峯観音には、こんなエピソードが残っています。
時は承応3年(1654年)、4代将軍・徳川家綱の時代。田峯の日光寺が焼失したため、再建しようとした村人が、天領だった山の木を誤って伐採してしまいました。それを聞きつけた代官がこの地に検分にやってくることに。村人は観音様に「田峯を助けてくれたなら、村が3軒になるまで歌舞伎を奉納します」と願をかけます。すると当日、真夏(旧暦6月。新暦では6月下旬から8月上旬頃)だというのに、なんとこの地に雪が降ったといいます。代官は「こんな寒い場所に木をとりにくるはずがない」と引き返してしまったため、村人は罪から逃れることができました。以来、毎年田峯観音の大祭では、1年も欠かすことなく歌舞伎(地狂言)を奉納しているのだそうです。
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田峯観音の大祭は、毎年2月11~13日。奉納歌舞伎は、この舞台で開催されます。舞台は、昭和51年に県の指定有形民俗文化財になっています。
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境内の梵鐘は、文明13年(1481年)、当時の田峯城主・菅沼三郎左衛門貞吉が、父の菩提のために寄贈した非常に古いもの(設楽町指定有形民俗文化財)。
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拝殿は何度か修理・改築が行われていますが、部分的に古い素材がそのまま使われています。
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こちらは大祭のときに田峯田楽が奉納される、本殿横の額堂。大正7年に建築されたものですが、上を見上げると動植物の天井画が描かれており、心願成就のために奉納されたおびただしい数の絵馬、額がズラリ。
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そうそう。田峯観音は、お水も有名なんですよ。田峯観音浄水(田峯観音祭祓水)という、森から引き入れている天然の湧き水です。田峯田楽奉納の際には、役者がこの水で身体を清めるのだそう。ペットボトルやポリタンク持参でお水を汲みに来る人の姿も多く見かけました。本殿へと向かう石段の、右側にあります。
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お水をいただき、縁結びにもご利益があるとのことでしっかり参拝。お腹がすいたので、すぐ近くにお店を構える「田峯特産物直売所」へ。
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お店の外に休憩所があるので、食堂メニューはテイクアウトして食べることもできます。見て見て~。休憩所からは、こんな絶景が望めるんですよー。
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地元産の米、野菜、こんにゃくや漬け物、甘露煮など、田峯の特産品が揃っていて、お土産スポットとしてもとっても魅惑的。そして写真でもおわかりのように、ここの名物は大五平餅です。さっそく五平餅定食(380円。安い!)をオーダーしてみました。
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五平餅が巨大!(笑) 長さは約20cmあります。タレは、自家製の味噌ダレです。使っているお米は田峯産のチヨニシキ。型どり以外は全部お手製なんですって。ちなみに一見あわせ味噌に見える隣のお椀ですが、じつはこれまた巨大な麩が入ったお吸い物。山菜やなめこ、こんにゃくが入った小鉢の和え物も、お吸い物も、とってもおいしかったです。大五平餅は、単品でも買うことができますよ(290円)。
◆野生のオシドリたちがやってきた!
田峯特産物直売所でお腹を満たしたので、最後の目的地、おしどりの里へと向かいます。ピーヒョロロロ...と遠くで鳴くトンビの声と、川の流れる音だけが聞こえる、静かな山道をずんずん下ります。
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と、この絶景ポイントで何やら動く物体を発見。......野生の猿だ! しかしながら敵もさるもの、カメラを構えながら近づくと、キーキー鳴きながら逃げてしまいました。姿をとらえられなくて残念。
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さらに下っていくこと約20分。再び朝くぐった廃線トンネルのポイントまで戻ると、近くに看板を発見しました。
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川沿いに歩くこと数分。「おしどりの里」に到着です。おしどりの里は、「おしどり愛護会」の伊藤仙二さんご夫婦が、約30年前からボランティアで保護活動をしている場所。子供たちが独立し、ご自身の仕事を引退されてからは、オシドリの保護活動に専念されています。
観察希望者は、まず、たて看板のある入口で受付をします。敷地内には観察小屋のほか、資料館や休憩所も。
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そして、伊藤さんの活動を応援する全国の人々から、オシドリのえさ(どんぐりやパンくずなど)がどっさり届いていました。活動は、善意のカンパと、こうした厚意をもとに成り立っています。
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オシドリは、環境庁のレッドデータブックにも掲載されている絶滅危惧種です。田峯・竹桑田の寒狭川のほとりは古くからオシドリの越冬場所でしたが、昭和30年代、周辺環境の変化で数が激減。強い危機感を覚えた伊藤さんは、まずこの地を休猟区にするよう働きかけ、ついに平成4年、愛知県がこの地を禁猟区――鳥獣保護区に指定しました(竹桑田鳥獣保護区)。活動を始めた当初、オシドリの数は10羽足らずだったといいます。それが今では伊藤さんご夫婦の地道な努力の甲斐あって、200羽以上が飛来。毎年11月から3月にかけて、野生のオシドリたちの群れを観察することができます(ただし野鳥なので、恒常的に観察できるとは限りません)。
比較的オシドリがいる時間帯は、早朝から朝9:00頃までと、14:00以降だとうかがいました。オシドリはとても臆病なので、観察はこのブルーシート小屋の小窓から。窓から手や顔を出したり、大きな音を出したりするとあっという間に飛び立ってしまいますので、注意してくださいね。撮影目的の人は、フラッシュ厳禁です。小屋の中には双眼鏡も完備されているので、ぜひ活用してください。
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さっそく小窓を覗くと――おおっ、いたいた! と思いきや、こちらはカモの一団(笑)。
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じつはマツモトが観察小屋に向かう直前までオシドリがいたそうですが、何かに驚いて一斉に飛び立ってしまったのだそう。その後30分ほど粘りましたが、一向にやって来る気配なしでした。ああ、オシドリ運がないんだなあ~としょんぼり帰ろうとすると、「来た来た!」と、あわててみなさんが小声で教えてくださいました。やった~、念願の野生のオシドリです!!
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何度もシャッターを押しましたが、マツモトのコンデジでは望遠マックスにしてもこれが限界...。しかしこれではみなさんに申し訳ない。設楽観光協会から、オシドリの画像をお借りしました。鮮やかな羽根のほうがオス。灰褐色の羽根をもつのがメス。オシドリはオスが全体の6~7割と個体数が多く、メスが少ないんだそうです。だからオスたちは必死でアピールするし、メスをめぐっての争いも激しい。「人間の男子には、今やそんな元気はないんじゃない?」と笑うのは、最近帰郷し、おしどりの里を守り継ぐ決意をなさった伊藤さんの息子さん、徹(テツ)さん。そうですね。ぜひ人間のオスのみなさんも、この気合を見習ってほしいものです。(画像提供:設楽町観光協会)
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オシドリは、寒ければ寒いほど飛来数が多くなるので、観察のベストシーズンは1~2月とのこと。とくにオスの羽根が鮮やかになるのは節分の頃だそうです。
帰り際、アマチュアカメラマンの女性から、今年撮ったという見事なオシドリの写真を何枚かいただきました。つぶらな瞳がかわいい!
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伊藤さんの夢は、オシドリが国の天然記念物に指定されること。そのためにも、たくさんの人にオシドリの美しさを見てほしいとおっしゃいます。県内で、これだけたくさんのオシドリ観察ができるのは、このおしどりの里だけ。この時期ならではの観光スポットに、ぜひともお出かけしてみてくださいね。
【おしどりの里】
住所:北設楽郡設楽町田峯字竹桑田3-6
TEL.:0536-64-5008(伊藤さん)
ホームページ:http://oshidorinosato.web.infoseek.co.jp
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