東海道を行く(番外編)~刈谷市富士松界隈(上)

投稿者名 : 長坂 | 日時 : 2010年06月15日 08:58

 プライベートで刈谷市美術館を訪れたら、刈谷市の東海道の史跡を巡るイベントのパンフレットを発見。同市教育委員会主催。以前、このブログで宮宿(名古屋市熱田区)~二川宿(豊橋市)の愛知県内9宿場を中心に紹介したが、刈谷周辺は未踏破。刈谷は知立宿と鳴海宿の中間にあり、旅人の休憩のための「立場(たてば)」として茶屋があった。史跡も多いところだ。いい機会なので参加することにした。(2010年6月5日取材)
 今回のイベントでは刈谷市にある名鉄富士松駅周辺と東海道(今岡町、今川町)を歩く。こちらが刈谷市のHPに載っている周辺マップ。マップから分かるように、この辺りの東海道は国道1号と名鉄本線の間を通っている。

IMG_6654.jpg

 名鉄富士松駅の改札を抜けると集合場所の駅前には早くも多くの参加者がにこにこして待っていた。刈谷はサッカーどころ。駅前のロータリーにはサッカー少年のモニュメントがある。

IMG_6650.jpg

 「刈谷ふるさとガイドボランティアの会」の案内で4組に別れてスタート。まずは駅前にある「お富士の松」を見学。駅があるのは今川町だが、この辺りはかつて富士松村といった。その名の由来になったのがこの松である。しかも永禄3年(1560)の桶狭間の合戦と関係がある。

IMG_6571.jpg

 言い伝えによると、織田信長に主君の今川義元を討たれた今川軍が敗走の途中、旅人を織田軍の回し者と疑って斬殺した。これを不憫に思った村人が、旅人を丁重に葬って、そこに松を植えた。これがお富士の松である。駅前に植えてあるのは3代目の松という。


 「初代のお富士の松は別の場所にありました。これからそちらに行きましょう」
 ガイドボランティアのみなさんに従って、駅から少し南に歩くと富士塚公園に到着。

IMG_6582.jpg

 これが同公園付近にあった初代のお富士の松の写真。

IMG_6580.jpg

 胴廻りは2メートル、高さは20メートルもあり、東海道を行き来する旅人の目印になった。「初代は伊勢湾台風(1959)を機に枯れてしまいましたが、地域の自慢でした。合併により富士松村はなくなりましたが、駅や学校の名として残っています」とガイドボランティアさん。
 富士塚公園からのどかな田園風景の中を南東に向かう。ちょうど田植えの季節。田んぼの向こうを名鉄電車が走っている。

IMG_6648.jpg

 この辺りはかつて海で、新田開発によって埋め立てられた。
 しばらく歩くと田園沿いのやや小高い場所にお寺があった。洞隣寺―。

IMG_6600.jpg

 天正8年(1580)の開山といわれる曹洞宗のお寺。開基は徳川家康の母・於大の方の弟で刈谷城主の水野忠重という。
 お寺は東海道沿いにあり、入り口には寛政8年(1796)と刻まれた常夜灯がある。

IMG_6606.jpg

 洞隣寺から北西(鳴海宿方面)に向かって境川まで東海道約4キロを歩くのが今回の旅である。
 さて洞隣寺には水野忠重の墓地がある。

IMG_6585.jpg

 その横にユニークな墓が3基ある。

IMG_6586.jpg

 写真の左の二つが「中津藩士の墓」、右が「めったいくやしいの墓」―。いずれの墓にも、面白いがちょっと怖い逸話が残されている。
 まず「中津藩士の墓」―。これは豊前国(大分県)中津藩士の渡辺友五郎と牟礼清五郎の墓である。言い伝えによると2人は寛保2年(1742)に東海道を旅していたが、途中立ち寄った知立宿の遊女のことで喧嘩となる。洞隣寺付近で渡辺が牟礼を斬りつけて、結局2人とも死亡。同寺に埋葬された。


 奇妙なのはここからの話。2人の墓は生前の恨みからか、互いを避けるようにして傾き、何度直しても傾くため恐れた村人たちは、改めて手厚く葬ったという。以後、傾かなくなったというが、今も少し傾いているように見える。

IMG_6588.jpg

 一方、「めったいくやしいの墓」―。こちらも怖い。
 昔、洞隣寺の下働きに容貌は悪いが気立ての良い娘がいたが、あるとき近くの村の医王寺に移ったところ、そこの住職に一目惚れした。しかし、住職は寄せ付けず娘は片想いの末に憤死してしまう。洞隣寺が亡骸を引きとって葬ったが、墓石から青い火の玉が浮かび上がって、油が燃えるような音がしたり、「めったい(非常に)くやしい」という声を発して医王寺の方向へ飛んでいった―。
 「火の玉は明治初めまで、見た人がいたようです」とガイドボランティアさん。

IMG_6591.jpg

(下に続く)


問い合わせ


刈谷市生涯学習部文化振興課
電話 0566-62-1037

 


関連記事

トラックバック

この記事へのトラックバックURL: http://www.lets-go-aichi.jp/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/368

コメントを入力する

  

このページの上へ