あいち大人の休日(1)大正の風~名古屋市東区・文化のみち

投稿者名 : 長坂 | 日時 : 2009年11月04日 15:29

(取材日2009年9月5日)
 大人がくつろげる場所に行こうと思う。旅の始まりは文化のみち橦木館(以後、橦木館)である。
 名古屋市役所から東に10分ほど歩くとマンションや邸宅の立ち並ぶ閑静な住宅街がある。この一角は名古屋城下の武家屋敷があったところだが、明治期にはガラス工業、陶磁器の絵付け業の中心地となった。大正期になると起業家たちの屋敷町となる。現在も大正ロマンの香るレトロな屋敷が点在するこの地域を名古屋市は「文化のみち」と名づけて近代建築の保存・活用を進めている。
 橦木館(東区橦木町2)はその象徴的な中核施設。陶磁器商の井元為三郎が大正末から昭和初期に建てた屋敷で名古屋市指定有形文化財、景観重要建造物に指定されている。市民団体に管理され各種催しが行われていたが、平成19年に名古屋市が取得。耐震工事や改装を行い今年7月に新装オープンした。

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敷地に入ると茶色の屋根とベージュ色の壁の2階建て洋館が目に飛び込んでくる。玄関付近のドアなどにはめ込まれたアールデコ調のステンドグラスが初秋の陽光にきらめいている。

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「蔵から11枚のステンドグラスが見つかり、新装オープンにあわせてはめ込みました」と兼松はるみ館長。兼松さんは名古屋市が取得する前に管理、運営をしていたスタッフの一人だった。「当時は普通のガラスがはめてありました。戦時中に華美を避けて外したか、空襲による損壊を免れようとしたのでは」と推測する。ステンドグラス目当ての若い女性来館者も多い。新装成った橦木館の目玉の一つだ。

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玄関にあるコート・帽子掛けとステッキ立てが一体となった木製家具。別室へとつながる木製ドアの装飾‥。「大正」は細部に宿る。

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玄関入って左手が旧応接室と食堂で現在はおしゃれな喫茶室がある。まずは赤い絨毯の敷かれた階段を上がって2階へ。2階は旧寝室と旧娯楽室。旧化粧室もある。「当時、2階にトイレがあるのは珍しい」と兼松館長。輸出用の陶磁器を扱っていた井元為三郎は2階を取引業者の接待などに使ったようだ。ビリヤード台などが置かれたこともあった旧娯楽室は現在、井元や名古屋の陶磁器産業を紹介する展示室になっている。

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面白いのは旧娯楽室に隣接したタイル張りの一室。兼松館長は「水が引けるようになっており、観葉植物などを置いてサンルームのようにしたのでは」と話す。部屋にはダチョウに乗った井元の写真がある。「この部屋のなぞが解けるかな?」とでも言いたげである。

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1階に下りて渡り廊下を進むと和館だ。奥座敷と中の間、旧台所・浴室・脱衣場などがある。和室の周りには廊下が走っている。和館と洋館に囲まれた庭園が美しい。和室に座り手足を伸ばしてくつろぐと室内に風がそよぐ。冷房などないのに外の残暑がうそのようだ。柱にもたれて少し居眠りをした。

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「見る場所によっていろいろな風景が見られますよ」。スタッフに声かけられて目を覚ました。誘われて庭に下りる。茶室から建物を見ると和洋折衷の贅沢な空間が広がる。枯山水の庭は四季折々の花を咲かせる。

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洋館に戻って喫茶室に入った。ここは千種区の喫茶店「カフェ・ド・ラ・リューシュ」が運営している。庭に面したテラスに出てアイスティーと手作りの「オレンジとはちみつのケーキ」を頼んだ。「大きな改修がされずに昔の形が残っている場所。観るだけでなく文化の発信基地、交流の場として市民の皆さんに使ってほしい」と兼松館長は話した。

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文化のみち橦木館を後にして近くの旧豊田佐助邸に向かった。橦木館のある通りの1本北側の通りにあるこの屋敷(東区主税町3)は見学無料だ。発明王豊田佐吉の実弟で、佐吉の事業をサポートし後に豊田紡績社長を務めた豊田佐助の自宅。橦木館同様に洋館と和館、庭園からなる。和館は大正12年(1923)、洋館はそれ以前に建てられたという。
 木立の中に建つ白いタイルの洋館玄関に入る。「東区文化のみちガイドボランティア」の三浦嘉幸さん(79)の案内で建物内を回った。

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洋館1階には洋間が3つ。玄関左の重厚な雰囲気の洋間に入ると「あそこを見てください」と三浦さんが天井の隅を指差す。見上げると鶴が羽を広げたような丸いマーク。「とよた(トヨタ)の文字をデザインした換気口です」と三浦さん。

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洋館と棟続きの和館は1、2階ともに書院造りの座敷が田の字型で4室ある。ここも橦木館と同じく外周を廊下が走る。

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座敷の見所は襖絵だ。歌川広重の「近江八景」の「瀬田夕照」で描かれた滋賀県瀬田の風景を金粉で浮かび上がらせたものだという説も。

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「はじめは佐助らの出身地・静岡県湖西市の景色かと見られていましたが、最近になって瀬田のようだ」と三浦さん。瀬田は戦国時代に天下取りの要衝。起業家一族の座敷らしい襖絵だ。このほかにも日本ガラスを使った三重のガラス戸など細部に当時の日本家屋の工夫が見て取れる。
 「しかし全体的には地味な建物。15歳上の兄・佐吉への遠慮か豊田家の気風でしょうか?」。三浦さんは穏やかに話した。
 家は人なり。文化のみちの邸宅には近代の起業家たちの個性が息づいている。

この記事で紹介した施設
■文化のみち橦木館
 住所・名古屋市東区橦木町2の18
 電話・052-939-2850
 開館時間・午前10時~午後5時
 休館日・月曜日

■旧豊田佐助邸
 住所・名古屋市東区主税町3の8
 開館時間・午前10時~午後3時30分
 休館日・月曜日、金曜日

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・名古屋ナビ - 「文化の道」二葉館 (2009年11月11日 15:34)
名古屋城から徳川園にかけてのエリアは、歴史的遺産の宝庫として「文化の道」 と名付けられています。江戸時代の武家屋敷地区がルーツであり、大正時代に なる... 続きを読む

コメント

NYAAGO | 2009年11月11日 15:39 | 返信
ブログ開設おめでとうございます。

文化のみちは、名古屋城から徳川園までひととおり
回ってきました。なつかしい写真の数々が拝見でき
て思い出がよみがえります。

当サイトのブログ、文化のみち記事のうち二葉館を
トラックバックさせていただきました。

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