天平のロマン紀行~豊川市・三河国分尼寺跡史跡公園

 豊川市の名鉄・国府駅東側の一帯は奈良時代に国の地方行政機関が集まった「三河国府」(今の官庁街)が築かれたところで、官立寺院の国分寺や国分尼寺が建立されていた。このうち国分尼寺跡は史跡公園として整備されている。天平のロマンを求める旅に出た。(2012年1月17日取材)

 名鉄・国府駅から看板を頼りに歩くこと約25分、幹線道路から離れた田園地帯の向こうに朱色の門が見えてきた。三河国分尼寺跡史跡公園だ。

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 国分寺・国分尼寺は天平13年(741)の聖武天皇の詔勅によって全国60余の国ごとに建立された。

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 三河国の国分寺・国分尼寺もこの地方の仏教文化の中心施設として繁栄したが、その役目を終えるとやがて朽ち果てた。しかし出土品などからその存在が分かり大正11年(1922)には国の史跡に指定された。

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 国分尼寺跡は昭和42年(1967)に愛知県教育委員会、平成8年(1996)からは豊川市教育委員会の発掘調査が行なわれて伽藍配置の全容や変遷が明らかになっていった。こちらが復元想像図(三河天平の里資料館所蔵)―。

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 豊川市は平成11年度から保存整備を進めて平成17年(2005)11月に「三河国分尼寺跡史跡公園」としてオープンした。伽藍の配置と公園の全体図はこちら。

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 公園は当時の姿を実感してもらおうと中門と回廊の一部を遺構の真上に実物大で復元した。発掘成果を元に法隆寺の東大門や東大寺の転害門など現存の建物を参考にして奈良時代の建築様式を再現、木造瓦葺で建てられた。

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 また国分尼寺としては最大級だった金堂や回廊など伽藍の基礎部分を復元した。

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 回廊は壁をはさんで両側通行が可能な「複廊」だったことが分かっている。

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 公園の南側には三河国の概要や国分寺・国分尼寺跡などからの発掘品を展示した「三河天平の里資料館」がある。

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 展示コーナーでまず目に飛び込んでくるのは鬼瓦―。写真右側が実物で左側は石膏による復元。

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 こちらは創建瓦―。

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 国分尼寺では定員10人の尼僧が尼房で共同生活をしながら修行をしていた。こちらは仏具や日常で使う食器類―。

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 1200余年の時を経て、まさか中年男に修行・生活の一端を観られるとは当時の尼僧たちは想像しなかっただろうなあ。


 受付に記念スタンプがあったのでペッタンコと押して、いただいた。

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 史跡公園から国府駅までの道程に国分寺跡など関連史跡が点在していると資料館の人が教えてくれたので立ち寄ることにした。


 住宅街を抜けてしばらく歩くと三河国分寺跡があった。

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 現在も国分寺の名を伝える曹洞宗のお寺がある。国の重要文化財である銅鐘は平安時代のものと考えられている。

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 かつての国分寺の境内は広大で、現在の国分寺本堂の位置に金堂があった。現在の境内から西側の少し離れた藪の中に塔があり、現在も基礎部分が残っている。高さは約50メートルで13階建てビルほどあったという。

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 繁栄した時代の国分尼寺・国分寺とその周辺を俯瞰した想像図がこちら(三河天平の里資料館所蔵)。図の手前が国分尼寺で、上が国分寺。

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 国府駅近くには「総社」がある。

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 この神社の周辺に国府の政庁(国庁)が置かれていた。中央から国庁に派遣された国司は4~6年の任期中に三河国の諸神社を巡拝するのが恒例だった。しかし平安時代になると、三河国の58社の神霊を総社に祀り、国司はここを参ることで巡拝の代わりとした。こちらが国庁の想像図(三河天平の里資料館所蔵)。

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 国府跡とその周辺でも発掘調査が行なわれている。これは三河天平の里資料館に展示されている国府跡から出土した羊形硯(手前)。この形状のものは平城京跡(奈良市)など全国で7点しか出土していない。写真奥が三河国府出土品の全体を復元したもの。

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 西域方面の羊をモデルにしたもので、シルクロードを通じて西域文化が三河まで来ていたことを物語っているという。
 国庁の役人たちはどんな言葉で話し、何を思い悩んでいたのだろうか?総社を参拝しながら、ふとそんなことを考えた。

 


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