(取材日:2010年12月24日)
名港トリトンから眺める新日鉄名古屋製鉄所の風景が好きで、いつも「もっと近くでジックリ見てみたい」と思っていた記者。通常は団体見学が主だが、不定期に行われている個人の工場見学を受け付ける機会が間近にあることをホームページで確認。広報センターで予約を取って出掛けた。![]()
最寄駅は名鉄常滑線の新日鉄前。歩いて5分で工場見学の集合場所であるゲストホールに到着する。電話予約の際に伝えた住所に、集合場所が詳しく書かれた確認書が送られてくるので迷うこともない。駐車場も用意されているので自家用車での来社も可能だ。![]()
ゲストホールには名古屋製鉄所の歴史や、製品ができるまで、製品と用途が分かる展示ゾーンと、大人数を収容できるセミナールームがある。![]()
「当社の歴史」と題された写真を見ていると、工場が建っているところは海だったことが分かる。昭和33(1958)年に東海製鉄株式会社として設立され、昭和35(1960)年に埋め立て開始。翌年、冷延工場が稼動した。昭和39(1964)年には銑鋼一貫体制が確立され、昭和42(1967)年に富士製鉄株式会社名古屋製鉄所、昭和45(1970)年に新日本製鉄株式会社名古屋製鉄所となった。![]()
セミナールームの入り口でパンフレットや鉄に関する物語のミニ絵本をいただく。ここで名古屋製鉄所の説明を10分、解説ビデオを10分ほど見ていよいよ工場内へ出発!![]()
ゲストハウス玄関には既にバスが待機。見学者は全員ヘルメットと軍手着用でバスに乗り込む。![]()
ゲストホールは工場敷地内なので、ゲストホールを出たバスは西知多産業道路を横切り工場の正門へ。そこから最初の見学場所である熱延工場へ向かった。
名古屋製鉄所は東西2.5キロ、南北2.8キロで面積が623万平方メートル。ナゴヤドーム130個分に相当する広さというから驚く。敷地内には野球場、テニスコートにゴルフ練習場、コンビニまである。新日鉄の社員3000人と、関連会社や協力会社の社員1万人の計1万3000人が働くこの名古屋製鉄所は、工場というよりはまさに一つの町のようだ。構内を循環するバスも走っていて「コークス」「ターミナル」など行き先別にたくさんのバスが走っている。
工場敷地内は指定された場所以外は撮影禁止。最初の目的地、熱延工場へ向かう間、職員の方の説明を聞きながらバスは片側2車線の広い道路を進む。
熱延工場は製鋼工程から送られてきたスラブ(精錬、鋳造された鋼)を1200度に加熱して延ばす工場。厚さ250ミリあったものが1.2~16ミリに薄くされ、長さ8メートルが1000メートルに延ばされる。工場内はうるさいので、外で説明を聞き見学者がひとかたまりになって工場内へ。
広い~!大きい~!そして暖かい~!!真っ赤な鉄の塊がコンベアーに乗せられて進み、巨大な圧延機から出たり入ったりするうちにどんどん長くなっていき「鉄は熱いうちに打て」を目の当たりにする。
写真は熱延工場の一部(名古屋製鉄所提供)
![]()
鉄が延びて運ばれる方向へ向かって見学者も400メートルほど歩くのだが、高い位置にいるにも関わらず真っ赤になって流れる鉄が現れるたびに熱気が顔に当たり、電気ストーブに顔を当てているのと同じくらい熱い。今が冬だから良かったようなものの、これが夏ならきっと汗だくになってしまうに違いない。
コンベアーの終点には、仕上げ圧延機で冷やされて薄くなった鉄をバームクーヘンのように巻いた鋼板(約20トン)が。これらは地下のコンベアーに乗せられ冷延工場へと運ばれていく。
鉄の迫力と施設や機械の巨大さに圧倒された記者。外に出たところが、最初の撮影許可ゾーン。圧延機の仕組みの説明と、実物大の鋼板が飾られている。記念写真の撮影タイムを終え、再びバスへ。
![]()
移動中、バスの中から時々、見たこともない特殊車両とすれ違ってビックリするのだが、中でもタイヤが56本付いた180トンキャリアカーは「サンダーバード」2号から出てきたといってもおかしくないくらいの大きさと異様な造形。
2回目の写真許可ゾーンであるかつての高炉前でバスを降りる。
遺跡のようなこの物体(建造物?)が3年前まで使用されていた第一高炉を四分割したものの下から2番目。内側の突起は1300℃の熱風を送るもので、耐火レンガが見えている。耐火レンガは2メートル厚みがあったものが、どんどん薄くなり70センチになってしまったのだとのこと。この70センチになったときが高炉の寿命、だいたい15、6年なのだそうだ。
![]()
人の大きさと比べると、高炉の大きさが分かると思うが、4分の1でもとにかく大きい。
![]()
写真許可ゾーンから見える製鉄所のシンボル、高炉。複雑に絡み合った骨格と重厚で無骨なシルエットが格好イイ~っ!
![]()
バスでこの第1高炉と第3高炉の前を通ったのだが、近くで見るとより迫力が増す。ラッキーなことにちょうど真っ赤な鉄が火花を散らしながら流れ出るところを一瞬だが見ることができた。
ここまでの行程で約100分。見学した日がクリスマスということで、お土産に鉄鉱石をいただいた。小さいのにかなりの重量感。日本の製造業の礎である鉄づくりの力強さを感じた一日だった。
![]()









