自動車のこれまでを学び、これからを考える―世界仕様のトヨタ会館と工場見学

(取材日:2010年9月3日)

  トヨタ自動車の本社前を車で通り過ぎるとき、妙にテンションが上がるのは私だけなのだろうか? 小さな子供が「あっ!新幹線」と、あっという間に通り過ぎる新幹線に大喜びするのとほぼ同じレベルで「おっ!トヨタの本社だ~」と喜んでしまう。
 眺めるだけだったトヨタ自動車本社のお隣にあるトヨタ会館を初めて訪れた。目的は会館と工場の見学。トヨタ会館のサイトから見学予約システムを使って予約すれば、無料でトヨタの車づくりを専任スタッフの案内で見ることができる。今回、記者はトヨタ会館と元町工場の組立+溶接見学のコース(所要時間150分)に参加した。

 トヨタ本社(写真左)の東側にあるトヨタ会館(同右)は1977年、会社創立40周年を記念して設立された展示館。
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  工場見学の事前予約をしている人は受付に申請して案内担当者から見学の際の注意を受け、工場見学ビジター入門許可証を受け取る。工場見学までの時間と、工場見学後の時間を使ってトヨタ会館内見学することにした。

 トヨタ会館最初のゾーンは「環境と感動」。ハイブリッドカーの進化をはじめ、エコカー開発への取り組みが展示されている。
 カラフルなプリウスがお出迎え。
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 館内は外国人も多く、館内は英語や中国語が飛び交う。展示の解説も日本語、英語、中国語の3カ国語。
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 超軽量コンセプトカー1/X。重量はプリウスの1/3、燃費はプリウスの2倍!
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 続いてのゾーンのテーマは「安全と自由」。事故を起こさない自動車の実現を目指したトヨタの取り組みを見ることができる。
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  1枚の画像では分かりにくいが、解説の内容によって白い車体が透けて中のエンジンが見えたり隠れたりするのでビックリ! このコーナーだけではなく全体的に映像と実物を組み合わせた見せ方が多く、自動車だけではなく展示方法の進化も実感。世界各国の人を対象にしているせいか、視覚的で捉えやすい。会館の内装もスタイリッシュで無駄がない。
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 次は「品質と効率」のゾーン。トヨタの高品質な車づくりを映像と模型で紹介している。
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 トヨタの様々な活動を紹介する「企業と社会」に続いて、最後のコーナーはショールーム。レクサスをはじめとするトヨタの最新モデルを展示しているだけではなく、乗ることもできる(運転はできない)。
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 記者もペーパーではあるが一応運転免許は持っている。せっかくなので、一生乗ることはないであろうと思っていたレクサスの最高級セダン「LS600hL」(車体本体価格15500000円)の運転席に座ってみた。うーん、ゴージャス! 応接間のようだ。
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工場見学者の集合時間が近づいたのでロビーに戻ったところ、パートナーロボットのエントランスショーが行われていた。

エントランスショーは、1日、10回行われるパートナーロボットによるトランペット演奏と1日2回行われるi-unitのデモンストレーション。頭に葉っぱを付けたおしゃれなあの子と愛知万博以来の再会でちょっと感激。トランペットの音を聞きながら、心の中で「久しぶり~!」と叫ぶ。近くで見ると、かなりなおちょぼ口。これが開発された「人口唇」で、優しく繊細な人の唇を再現しているのだという。
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演奏を終えた後、皆の拍手を浴びてなんだか誇らしげな彼(彼女?)
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続いてi-unitのデモンストレーション。ここでも説明は日本語と英語のダブルバージョン。形が変化するたびにギャラリーから「オー!」「すごい!」と驚きの声が上がる。
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 集合時間になり、指定の場所に行き、いよいよ出発。工場へはカメラ、携帯電話が持ち込み禁止なので、会館内のロッカーに入れて見学者用のバスへ向かう。バスは日本語案内と英語案内の2台。英語号にも日本語号と同じくらいの人(ほぼ満員)が乗っている。
 元町工場へ到着するまでの10分ほどの間に、案内スタッフがトヨタ自動車の概要や沿革を説明してくれる。

工場内の写真撮影が禁止のため、トヨタ自動車から堤工場の写真をお借りした。記者が見学したのはクラウン、マークX、エスティマを生産する元町工場だが、写真の堤工場ではプリウス、カムリ、プレミオを生産している。
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 元町工場の土地面積は160万㎡。ナゴヤドームの35倍というから、とにかく広い!組立工場の見学コースは工場のラインを上から見る形になるので、写真とは目線が若干違うが、基本は同じ。140の部品会社から運ばれてきた3000点の部品の組み付けが行われる。
 案内スタッフの後を付いて製造ラインを見ながら、トヨタ生産方式の基本である「ジャストインタイム」と「自働化」の解説を聞いていると、トヨタ自動車がここまで成長した理由の一端を見ることができたような気になる。

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 生産台数で長さを調節できるライン、ドアレス工法、組み付ける人と一緒に動く部品を積んだ「ワゴン台車」、違う車種でも使う部品が一目で分かる「デジタルピッキングシステム」等々...。より効率良く生産するために生み出されたシステムは無駄を極限までそぎ落とし、流れるように働く人たちの動きは美しいとさえ思えるほどだ。

溶接工場では500台のロボットが鋭意(!)溶接中。溶接工場の溶接自動化率は96%だというから驚く。ラインでボディ(車体)が運ばれてくると一斉にロボットが動き出し、火花を散らしながら溶接するさまはまるで「ターミネーター」の世界。バシバシ火花を散らすロボットの隣で、飛び散る鉄の粉を吸い取る掃除ロボット...。つき手、返し手の息がぴったり合った餅つきを思い出す。

 案内スタッフの方に聞いたところ、見学ツアーは毎回人気で連日ほぼ満席(定員45人)。早めの予約がお勧めだそうだ。


工場見学後、トヨタ会館のミュージアムショップへ寄ってみた。
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ここの一番人気は「オリジナルプルバックカー」。コレクターもいるという。
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ミニチュアカーやトヨタ2000GTクッキーなど、車好きにはたまらない車グッズがいっぱい。 CIMG4348.JPG
 想像以上に楽しめて勉強になったトヨタ会館と工場見学。大人の社会見学の醍醐味がここにはあった。

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