(取材日:2010年8月24日)
◆アール・ヌーヴォーから現代まで。名作を集めたガラス工芸美術館
大一美術館は、1997年に開館した私設美術館。北名古屋市に本社を置くパチンコメーカー、大一商会が企業メセナの一環として運営する美術館です。大一美術館は名古屋市中村区の、閑静な住宅街にあります。
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大一美術館は、おもにエミール・ガレをはじめとするアール・ヌーヴォー作品と、現代ガラスアートの第一人者、デイル・チフーリの作品をコレクションしています。ガラス工芸作品を集めた美術館は、箱根、滋賀、長野県などにもありますが、愛知県では、この大一美術館のみ。ガレの作品を恒常的に見られる美術館は、愛知県内でココだけ!なんですよ。
玄関を入ってすぐ、目に飛び込んでくるのが天井から吊り下げられたこの巨大な物体。この赤いウニャウニャは、いったい何!?
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正解は、デイル・チフーリの彫刻作品『シャンデリア』(1997年)。いきなりインパクト大な作品がお出迎えです。約600個のガラスピースを組み合わせたもので、重量は、なんと約500kg。チフーリの工房スタッフがこの場所で組み立てたのだそう。間近で見ると、すごい迫力です。ちなみにデイル・チフーリは、アメリカで最初に人間国宝に選ばれたアーティストです。
「当館では半年に一度のペースで展示替えを行い、さまざまな角度から所蔵作品を楽しんでいただいけるよう、企画展を開催しています。おもに1Fではアール・ヌーヴォーとアール・デコ作品を展示。あえて照明を暗くし、落ちついた空間の中、じっくりと作品に向き合っていただけるような演出をしています。一方、2Fでは現代ガラスアート作品を展示し、一転して自然光をふんだんに採り入れた、明るく開放感あるスペースになっています。この対比そのものも楽しんでいただきたいですね」とおっしゃるのは、同美術館学芸員の市原理江子さん。
ちなみにこれが1F展示室の雰囲気。この日は約50点のアール・ヌーヴォー作品が展示されていました。
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しっとりムードですね。
ガレの『蜻蛉文脚付杯』(1904年・写真左)と、『ジャンヌ・ダルク文花器』(1889年・写真右)は、企画展の内容によらず、いつでも見ることができる常設作品です。
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そして、こちらが2F展示室の様子。デイル・チフーリと現代ガラス作家の世界になっています(10月24日までは、『ガレの陶芸&ラリックのガラス展』作品の一部も展示中)。2Fには、約70点の作品が展示されています。
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とても大胆で、カラフルな作品ばかり。たしかに1Fとは別世界です。ちなみに写真右の作品は、『壁ガラス』という作品で、壁一面全体にモチーフが広がっています。まるで、壁に花畑が出現したみたい。この作品、時間がたつと灯りの明度が変わっていき、さまざまな表情が楽しめるんですよ。たとえば、ほーら、このとおり。
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美術館のサイズも大きすぎず、小さすぎず。のんびりマイペースで鑑賞できる美術館です。
◆今なら貴重なガレの陶器作品も見られる!
現在、大一美術館では『ガレの陶芸&ラリックのガラス展』を開催中(10月24日まで)。ガレと並び、ラリックのガラス作品にもファンが多いです。もともとジュエリーデザイナーだったラリック。華麗な作品が多いせいか、どちらかというと女性に人気。
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ところでガレの"陶器"!? ガレって、ガラス工芸作家じゃなかったの??
「そうなんです。じつはガレが陶器を作っていたことを知らない人は多いんですよ。ガレはそもそも陶器のデザインからスタートした人。今回の企画展では、新しくコレクションに加わったガレ家秘蔵のディナーセットをはじめ、あまり一般公開されることのない、初期のガレの陶器作品をあわせて楽しんでいただく内容になっています」とおっしゃるのは、同館事務局長の成田優さん。
というわけで、これが噂の本邦初公開、ガレ家秘蔵のディナーセット『紋章文テーブルウェア』(1880年。写真はその一部)。ガレ家で代々使用されてきたもので、これまで所有していたガレのお孫さんがなくなったことから、大一美術館のコレクションに加わりました。
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ガレの陶器には、ほかにもこんな作品があるんですよ。
左の写真は、『波型伊万里風景文花器』(1884年)。右の写真は『黒猫』(1880年)と『黄地染付ハート文猫』(1884年)。いずれも伊万里焼や招き猫など、日本文化の影響を大きく受けていたことがわかります。よく見ると猫たちの目にはガラスが入っていて、やけにリアル~。
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ちなみに、学芸員・市原さんお気に入りの作品は、コチラ。『蛙と魚文貝形陶器』(1883年)。2匹の鯉に蛙が手綱をつけて、サーフィンを満喫中。お茶目な一品です。遊び心いっぱいでカワイイ!
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◆展示作品だけでなく、ココにもぜひ注目を
展示作品だけでなく、館内に使われているフロアライト、シャンデリアにもぜひ注目を。1Fにはさりげなーく、ガレの作品が使われています。灯りやランプが大好きなマツモト、勝手ながら照明もお気に入りの作品を品定め。
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館内には休憩スペースもいくつかあります。ミュシャの版画作品が飾られた部屋もありますし、自販機でドリンクを買い、外の風景を楽しみながらちょっと一息...ができるスペースも発見。
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貴重な作品が多い大一美術館ですが、なんと「ほかのお客様のご迷惑にならなければ」一般客でも館内撮影OKなんだそう。懐が深いですね~。
大一美術館の所蔵作品は、大一商会の創業者、故・市原茂さんのコレクションがベースになっていますが、今回日本初公開されたガレ家秘蔵のディナーセットのように、現在もコレクション点数は増え続けています。次回企画展については、現在考案中。「ガラス作品は、事前の作品知識がなくても、単純に見て楽しんでいただけるはず。かしこまらずに、ぜひ気軽に来ていただきたいですね」と、市原さん。新旧のガラスアート――それぞれのもつ魅力と個性を、ぜひあなた自身の目でも味わってみてくださいね。
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