「豊田市和紙のふるさと」で、和紙に親しむ。【後編:鑑賞編】

(取材日:2010年8月5日)

◆和紙展示館で、藤井達吉翁の功績を思い知る
さて、和紙工芸館での和紙づくり体験を終えたマツモト、お次は『和紙展示館』(入館料:一般・高校・大学生200円、中学生以下無料)へと向かいます。
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豊田市小原地区は、和紙の原料"コウゾ"の育成に適した土地で、古く室町時代から紙の里として知られてきた場所。おもに番傘や障子に使う和紙をつくっていました。しかし、昭和に入ると洋紙やビニールの登場によって需要が減り、廃業する農家が増加。この衰退の危機を救い、小原和紙を芸術性の高い工芸品へと再生させたのが碧南市出身の工芸家、故・藤井達吉でした。小原和紙と藤井達吉とは、切っても切れない関係にあるのです。

現在、和紙展示館では『藤井達吉と工芸』展を開催中(9月26日まで)。
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七宝、金工、木工、染織、漆工、陶器、日本画や書、和歌など、藤井達吉は、工芸のジャンルにとどまることなく、多くの優れた作品を残しました。昭和7年(1932年)に小原和紙と出会い、その質の良さに感銘を受けた彼は、村の紙漉きたちに紙に菊などの野草を加える"漉きこみ"という手法を伝授。より工芸的価値の高い和紙づくりを指導しました。さらに昭和20年(1945年)、小原に疎開した藤井達吉は、村の若者たちとともに、染色した原料と型紙で絵画のような作品を作る"小原美術工芸紙"を創作します。このとき、和紙でつくった器に漆を塗って仕上げる"一閑張"という技術も、同時に伝授しました。

小原には今も、藤井達吉に学んだ和紙工芸作家がその意志を引き継ぎ、多くの工房を構えています。2Fには、そんな地元の工芸作家作品も展示されています。
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「常設展示室は、藤井達吉の作品を中心に、3か月に一度の割合で展示内容を替えています。また、企画展示室では、地元で活躍する作家をピックアップして作品紹介を行っています。小原和紙工芸は、日本はもとより、世界に誇れる芸術。後継者育成も豊田市和紙のふるさとの目的の1つですので、こうした作品から少しでも興味を抱いてくれる若者が現れてくれたらうれしいですね」とおっしゃるのは、所長の伊井房夫さん。

伝統工芸で生活していくのは、実際のところとても難しいこと。ですが、唯一無二の芸術は、やはり後世まで残り、つながっていってほしい財産。悩ましい問題です。もしも達吉翁が今も生きていたら、この状況をどう解決するだろう...。

◆これも和紙! あれも和紙! 和紙の底力にびっくり
さて、和紙展示館で見られるのは藤井達吉作品だけではありません。先ほど紹介したように、地元・小原在住の和紙工芸作家作品も多数見ることができますし、常設作品にも興味深いものがたくさんあります。

たとえばこれ。カヌーの『わしまる』くん。
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もしやと思いますが、その名のとおり、和紙でできたカヌーなんです。和紙の上に漆を塗る一閑張の手法で作られたカヌーで、わかしゃち国体の際、競技前のデモンストレーションで、見事に矢作川の急流を乗り切ったのだそう。そのときの様子が写真パネルで展示されています。展示用の芸術品ではなく、実用品としてちゃんと乗れてしまうところがスゴイ。

そしてこちらは、一見布にしか見えないけれど、ちゃんと和紙でできているタペストリー。
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色目も模様も、いずれもステキ! どれか1枚、うちに持って帰りたい! というか、いずれはこんな作品を、自分でも作ってみたい! 多彩な表情を持ちながら、さまざまなニーズに耐えうる和紙。和紙のもつポテンシャルは、かなり大きいのではないでしょうか。

こちらの和室には、山内一生、安藤繁和など、代表的な小原和紙工芸作家たちの作品が結集。06.jpg
和紙独特の温かみに溢れる、ほっとする空間です。

ちなみにこの2Fの窓から見える緑いっぱいの風景も、相当ステキ。ついついソファでのんびりしたくなりますよ。
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◆和紙展示館の外には、遊歩道が
豊田市和紙のふるさとは、豊かな緑に囲まれた場所にあります。じつはここ、和紙工芸館や和紙展示館のほか、敷地内に遊歩道があります。この遊歩道、2009年4月に整備をし直したとのことですので、ちょっと歩いてみることにしました。
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じつは豊田市和紙のふるさと、総敷地面積は17万2000平方メートルもあります。和紙工芸館や和紙展示館の裏手には自然そのままの山林が残っているんだそうです。長いコースで約2時間、最も短いコースで約15分のお散歩が楽しめるのだそう。この日、根性ナシだったマツモト、とりあえず15分の短いコースにチャレンジ。
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短いとはいえ、山道なのでちょっぴり勾配は厳しかった...。でも途中、こんな景色が見られましたよ。
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時間的に余裕のある人は、森林浴もおすすめです。夏には昆虫採集を楽しむ人もいるのだそうです。

ちなみに、園内の和紙原料植物見本園には、前編で紹介したコウゾのほか、ミツマタ、ガンピ、トロロアオイが植えられています。和紙は、こんな植物からできあがるんですね。写真は左がミツマタ、右がコウゾです。......見分けられますか? マツモトには難しいです。。。
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小原地区は、"四季桜"の名所としても有名です。毎年11月頃にはモミジと四季桜が同時に咲き、見事な風景を楽しむことができます。和紙のふるさと敷地内にも、モミジ、四季桜の姿が。それ以外にもソメイヨシノ、サツキ、ツツジ、キンモクセイ、モクレン、ツバキ、サザンカなど、たくさんの樹木が植えられています。季節を問わず、ぜひ自然の風景と和紙を存分に堪能してみてくださいね。


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