(取材日:2010年7月17日)
◆所蔵のルオー版画集、全点を初公開!
現在、メナード美術館では『マティス+ルオー版画展』を開催中です(9月5日まで)。メナード美術館が所蔵する両者の版画集から、100点を紹介する所蔵企画展。じつはメナード美術館が所蔵するルオーの版画集を全点展示するのは、開館以来、今回が初めてなんだそう。こんなまたとない機会、見逃せません!
ところでマティスとルオーって、どんな作家さんだったっけ? とお思いの方に、ちょっとだけご紹介しましょう。明るく鮮やかな色彩、単純化したモチーフ、楽しい印象のマティス。
![]()
かたや、ほぼ黒一色あるいは極力色数を抑え、宗教や精神性をテーマに重厚な作品を作り続けたルオー。
![]()
画像をパッと見ただけで、両者の違いは明確でしょう。しかし対照的なこの2人、20代の頃にパリ国立美術学校の同じ教室で、同じ先生――ギュスターヴ・モローのもとで学んでいて、しかも互いに切磋琢磨するほど仲がよかったんだそうです。意外!
7月17日(土)14:00から、学芸員によるギャラリー・トークが開催されると聞き、さっそくマツモトも参加してきました。
![]()
両作家の作品背景、テーマなどをコンパクトに、わかりやすく教えていただけた約20分。次回のギャラリー・トークは8月17日(火)、14:00からです。作品について、より深く知りたい方は、ぜひ参加してみてくださいね。
「色や形を単純化させるマティスと、重厚に色を塗り重ねていくルオー。版画は1枚の紙の中に厳選された色を用いて制作されるので、油絵以上に作家の精神や制作過程での考えが凝縮されて、個性が見えやすい表現手段ではないでしょうか。今回、とくにルオーの所蔵版画作品すべてを公開するのはメナード美術館にとっても初めてのことですし、別室のコレクション・コーナーでは2人の油絵作品も紹介しているので、いろいろな角度から、かしこまらずに作品を楽しんでいただければな、と思います」とおっしゃるのは、担当学芸員の宮崎いず美さん。
こちらがコレクション・コーナーの様子です。『マティス+ルオー版画展』会期中は、西洋絵画名作選と題し、マティス、ルオーをはじめ、モロー、セザンヌ、ピカソなどの絵画作品も展示されています。
![]()
メナード美術館の所蔵作品は、絵画、彫刻が約900点、工芸、古美術作品が約500点。企画展開催内容などによってコレクション・コーナーの展示作品も変わりますが、いずれ劣らぬ名作揃いなんですよ(メナード美術館コレクションの詳細は、コチラをチェック!)。
◆充実の関連イベントも見逃せない!
メナード美術館は、所蔵作品を中心とした企画展や年1回の特別展を開催していますが、展示作品だけでなく、関連イベントが充実しているのも同館の特徴の1つです。
たとえば今回、マティス、ルオーの版画作品を深く知る工夫の1つとして、夏休みの自由研究にも使えそうな『夏休みワークシート』を発見。
![]()
コレ、大人にとっても作品ガイドとして活用できる内容になっています。美術館にお出かけの際は、ぜひ手にとってみてくださいね。
7月10日(土)の17:30からは、展示室を会場に、ギャラリー・コンサート『男声合唱の夕べ』が開催されました。重厚なルオーの作品群を前に披露された男声合唱。さぞかし荘厳な世界が展開されたことでしょう。ちなみに画像は、そのときの様子です(画像提供:メナード美術館)。
![]()
今後もイベントは続きますよ。7月30日(金)、31日(土)には、コンテンポラリーダンサーで振付家の平山素子さんを講師に迎えてのワークショップ『体で感じるマティス+ルオー版画』、8月11日(水)17:30からは、ギャラリー・コンサート『セントラル愛知交響楽団によるフルート四重奏』も開催されます(入館券付き・1000円)。8月11日(水)はイベントのための特別開館で、この日はコンサート後、19:00まで美術館鑑賞ができるんですよ(入場整理券持参の人に限る)。先着順80名限定のイベントで、事前申し込みが必要ですので、詳細はコチラでご確認ください。
企画展開催中は、ミュージアムショップもちょっぴり様変わり。ポストカードは定番人気を誇っていますが、現在人気なのは、マティスのポストカードセットと切り絵の画集だそう。
![]()
重厚ゆえにとっつきにくいかもしれないけど、ちゃんとルオーのオリジナルグッズもありますよ~。
![]()
◆2009年4月にリニューアル。より快適になった美術館
メナード美術館は、日本メナード化粧品の創業者(現・会長)の野々川大介、故・美寿子夫妻が収集した美術作品を広く一般公開するため、1987年にオープンした美術館。メナード美術館の所蔵作品は、マネ、ゴッホなどの印象派以降の西洋絵画、横山大観、前田青邨、岸田劉生などの明治以降の日本画・洋画など、全1400点あまりに及びます。
![]()
じつはメナード美術館は、2009年4月にリニューアルオープンしています。このリニューアルで、より多くの所蔵作品を鑑賞できるよう展示室が増床され、さらに別棟の多目的ホール『アネックス』も新たに誕生。さらに、全館バリアフリーに改修されました。
![]()
「当館にいらっしゃるお客様には『メナード美術館にある、この作品が見たくてわざわざ来た』とおっしゃる方も多く、中には『せっかく来たのに今日は展示されてないのね』とがっかりされる方もいらっしゃったんです。展示作品は定期的に入れ替えるのですが、『コレクション・コーナー』は、こうしたお客様のご要望にお応えするために設けました」とおっしゃるのは、同館広報担当の座馬久美さん。
そういえば今回も、コレクション・コーナーではマティス、ルオーだけでなく、セザンヌ、ピカソなどの作品も見ることができましたよ(特別展開催時など、作品展示の都合でコレクション・コーナーを設けない場合もあります)。
![]()
展示室以外――たとえば廊下のウインドウでも、思わぬ作品に出くわします。マティスの彫刻作品『肘かけ椅子の裸婦』、ミニ・ギャラリーでは舟越桂の『長い休止符』の展示が。
![]()
帰り際、敷地内にある多目的ホール『アネックス』にお邪魔してみました。講演会や講座などのイベント開催がない日は、無料休憩スペースとして開放されています。
![]()
エントランスと休憩スペースのテーブルに、ちっちゃな動物たちを発見。『青山の森の子供達』と題されたこの木の人形は、三重県にある『メナード青山リゾート』発のものなんだそう。か~わいい。展示されているだけでなく、購入することもできます。収益金の一部は、森林保護や緑化活動に寄付していく予定だそうです。
![]()
じつはメナード美術館は、ちゃんとデータで裏づけされた"癒しの空間"なんですよ。2001年の第14回日本健康心理学会で、「メナード美術館での芸術鑑賞が生理的、心理的にストレスを低下させる」という調査結果が発表されました。これは2001年に開催された、内容の異なる3つの展覧会の来館者に対して作品鑑賞の前後に内分泌系、心理分析を行い、調査したもの。鑑賞後にはストレスホルモンであるコルチゾールの低下が認められ、心理アンケートでも心理ストレス感と否定的感情の項目が減少という結果が得られたんだそうです。
適度に落ち着いた、こじんまりした空間、そして展示作品。たしかに鑑賞していると、気分が落ちつきます。猛暑もあいまってストレスフルな生活を送っているみなさん、ちょっと一休みをしに、メナード美術館へお出かけしてみてはいかがでしょう?
関連記事


























