六角堂と「汗かき地蔵」~稲沢市・長光寺

 稲沢市の長光寺には珍しい六角形の地蔵堂「六角堂」がある。堂内には美しい鉄造の地蔵菩薩が安置されている。7月31日には昔懐かしい縁日が行われる。縁日を前にお寺と関係者を訪ねた。(2010年7月20日取材)
 JR清洲駅で下車、JR東海道本線の東を走る旧美濃路を北上する。稲沢市観光協会のマップに従って旧街道の風情が残る道を歩いて行く。途中に北市場美濃路公園という公園があり、そこに「美濃路の由来」と書かれた看板が立っていた。

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 看板によれば美濃路は今から約400年前の天正年間に織田信長の次男信雄が道幅9メートルの道路に改修したのが始まり。東海道と中山道を結ぶ重要な脇街道であった。宮宿(名古屋市熱田区)で東海道とわかれて北上、垂井宿(岐阜県垂井町)で中山道と合流する。全長57・6キロ。

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 さらに進むと左手に年季の入った石の道標が建っていた(写真右)。「右ぎふ」「左京都」とある。美濃路の存在を今に伝える道標である。

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 道標は以前、ここから少し北の美濃路・四ツ家追分にあったが破損した(トラックがぶつかったらしい)ため、ここに移されたという。
 道標の奥に長光寺がある。楼門は江戸時代の建立で稲沢市指定文化財である。

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 長光寺は寺伝によれば応保元年(1161年)に平頼盛が創建、延元3年(1338)に足利尊氏が復興した。中国で始まった仏教の宗派の一つ、法相宗に属し、長光寺寛林院と号したが、明応8年(1499)に臨済宗に改めて興化山長光寺となった。
 楼門をくぐると地蔵堂が境内に鎮座していた。

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 巨大な僧侶が静かに座禅を組んでいるかのような荘厳な美しさである。

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 堂に残された銘から建立は室町時代の永正7年(1510)とみられる。全国的にも珍しい六角円堂という形で、明治39年(1906)に国の重要文化財に指定された。

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 見る場所によって表情を変える。

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 奥村素英住職の案内で堂内に入れていただき、安置された鉄造地蔵菩薩立像と対面する。特別に許可をいただいて撮影させていただいた。

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 高さ160・5センチ。銘によると鎌倉時代の文暦2年(1235)の造立。昭和35年(1960)に国の重要文化財に指定された。優しい表情のお地蔵様は写実的で、今にも動き出しそうである。それゆえに畏れ多い気持ちにさせられる。

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 このお地蔵様は別名「汗かき地蔵」といわれ、大きな事件や災害があるときには汗をかくという伝説がある。
 「昔、愛知県美術館に展示のために移動させることになったとき、直前に汗をかかれているのを私も見ました。気象状況等に影響を受けた現象だと思いますが...」と奥村住職。「愛知県の方はもちろん、東京、大阪などから拝観にみえる方も多いですよ」


 ところで長光寺には臥松水という信長ゆかりの井戸の跡がある。

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 信長が清洲城にいたころ、茶の湯や調理のためにこの井戸水を使ったという。信長は岐阜に移ってからも度々取り寄せたというほど気に入っていたとか。ということは信長も六角堂のお地蔵様に戦勝祈願をした可能性があるわけだ。


 2月24日と8月24日の長光寺の縁日と2月3日の節分の午前中にお地蔵様が公開される。長光寺の縁日は地元では「おじぞうさん」といわれ、かつて露店が並び賑やかだったが次第に質素なものになった。「あの懐かしい縁日を復活させよう」と地元の有志たちが7年前から復活させた。


 今年は7月31日午後5時から7時まで、境内で行われる。同日午後3時半からは本堂で「ちびっ子坐禅教室」を同時開催。お地蔵様も特別公開される。
 実行委員会代表の隅田祐治さんは「私が小さい頃は縁日になると境内で子供の相撲大会があったりして楽しかった。あの賑わいを是非復活させたいと始めました」という。

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 境内にボランティアによる模擬店が並び、臥松水付近では野点を開催。子供を対象にした甲冑の試着会も行われる。

 

 


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コメント

Author Profile Page 長坂 からおかしやさんへの返信 | 2011年3月 8日 15:07 | 返信
まもなく美濃路シリーズの新記事をアップ予定です。場所はまだ明かせませんが、楽しい旅になりました。お楽しみに。

おかしやさん | 2011年3月 4日 20:38 | 返信
六角堂の周辺は小さな商店街みたいな感じでしたが
今では商店も全て廃業されて
清州駅周辺の区画整理も進んで
だんだんと古い建物が減って行って寂しいです
六角堂の先の大垣街道踏切付近にも
美濃街道と大垣街道の分岐を表す石碑が残っており
まだまだ古い物が所々残っており
この先もぜひ美濃路シリーズをお願いいたします
懐かしく拝見いたしました
ありがとうございました

Author Profile Page 長坂 から加藤俊男への返信 | 2010年7月28日 11:28 | 返信
六角堂と鉄造地蔵菩薩はこの仕事を始めた頃から、是非取材してみたかったものです。期待に違わぬ荘厳さでした。とはいえ猛暑の取材は結構、きつかったです。読者の皆様も観光中の熱中症にお気をつけください。

加藤俊男 | 2010年7月26日 09:08 | 返信
稲沢市の長光寺の「六角堂」、美しい鉄造の「汗かき地蔵菩薩」ありがたみのある写真ですね!
旧美濃路街道の風情や戦国時代など先人が育んだ歴史や文化が多く残っており、素晴らしい観光スポットですね!
猛暑の中での取材、ご苦労様でした。

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