(取材先:2010年4月7日)
◆デザインをテーマにした、国内でも稀な施設
美術館、ギャラリーというと、一般的には絵画や彫刻、工芸品などのアート作品を展示する場所ですが、名古屋市中区にある「国際デザインセンター(以下IdcN) デザインミュージアム」は、"デザイン"を主役にした美術館。アートではなくデザインをテーマにする美術館は、国内でも数えるほどしかない稀有な存在です。デザインミュージアムは、ナディアパーク・デザインセンタービルの4Fにあります。
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IdcNが開館したのは、今から14年前のこと。1989年に名古屋で開催された「世界デザイン博覧会」をきっかけに"名古屋発のデザイン文化の創造・発信拠点を設けよう"という動きが高まり、愛知県、名古屋市、および民間企業101社の出資によって株式会社国際デザインセンターが設立されました。デザインミュージアムの運営は同社が行っています。同社では、ほかにも若手デザイナーの育成、デザイン企画制作、企業支援・コンサルティングなどさまざまな事業を手がけていますが、いずれもキーワードは"デザイン"。IdcN開館以来、若手デザイナーを対象に隔年開催している国際コンペティション『名古屋デザインDO!』は、今年で7回目を迎えました(4月23日まで第7回応募作品受付中)。今では世界中の若手デザイナーにとって登竜門的なコンペになっています。
世界デザイン博覧会に先立ち「デザイン都市宣言」をした名古屋市。それ以降、地道に、しかし積極的にデザインを核とする街づくり・デザインイベントを行ってきたことが評価され、2008年10月、ユネスコの「クリエイティブ・シティズ・ネットワーク」デザイン分野において、じつは加盟都市に認定されているのです! し、知らなかった......。じつはスゴイんですね、名古屋。ちなみに国内では、同年・同ジャンルにおいて神戸が、2009年にはクラフト&フォークアート分野で金沢が認定都市になっています。
「名古屋がユネスコのクリエイティブ・デザインシティに認定されていることは、名古屋市民にもあまり知られていない事実だと思います(笑)。現状ではこのデザインミュージアムにいらっしゃる方もデザインを学ぶ学生さんや、デザイン関連の仕事に携わる方がほとんどなのですが、デザインは、日常的に使う、どんなものにもほどこされている身近な存在。一般の方にももっと親しんでいただけたらな、と思っています」とおっしゃるのは、IdcNミュージアム担当の方。それではさっそくデザインミュージアムを覗いてみましょう。
◆1930年代アメリカ。デザイン興隆期の作品は、今むしろ新鮮!
現在、デザインミュージアムで開催中なのは『American Designers of the 30s 第1世代のデザイナーたち』(5月9日まで。会期中無休)。デザインミュージアムが所蔵する1930年代アール・デコ時代のアメリカのデザイン作品、約2000点の中から、第1世代――20世紀のデザイン興隆期である1930年代に活躍したデザイナーをピックアップし、その作品を紹介しています。
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そもそも"デザイナー"という職業が誕生し、その仕事が認知されたのはこの時期のこと。20世紀初期には生産の工業化が進むなか、技術者や設計者による、実用性重視の無骨な製品が世に溢れていました。しかし時代はおりしも世界大恐慌の真っ只中。社会全体が暗いムードに包まれ、モノが売れない時代に、企業は「いかに新しい技術や素材を魅力的にアピールし、モノを買ってもらうか?」に頭を悩ませました。そこで登場したのが、今回ここで紹介されている第1世代のデザイナーたちです。
彼らの功績の、一例を挙げましょう。タバコ『ラッキーストライク』のパッケージデザインです。左側がデザイナー1930年代の旧パッケージで、右側が1940年にレイモンド・ローウィがデザインしたもの(ともに当時の雑誌広告)。白地に赤のロゴ、すっきりとインパクトのあるこのデザインは、今もなお生きていますよね。新パッケージに生まれ変わったあと、このタバコは爆発的に売れたそうです。彼は日本のタバコ、『ピース』のパッケージデザインをした人でもあります。
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そしてこのカラフルな食器『レジデンシャル・ディナーセット』は、ラッセル・ライトによるデザイン。当時の新素材・プラスチックをアピールするとともに、色の組みあわせを自由にし、テーブルを楽しく彩る提案をしています。このセットは1940年代、若い世代の中流階級を中心に大ヒットしたのだそう。当時流行の流線型を取り入れた遊び心のあるデザインで、今見ても「カワイイ!」と思えるテーブル・ウェアです。
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ほかにもたくさん展示してありますが、いずれも「今見ても十分斬新で、欲しい!と思える」デザイン揃い。売れないモノを売れるモノに変え、人の気持ちを明るく&楽しくさせるデザインの力。そして、その発想のユニークさ、そうした発想ができるデザイナーたちの心意気――マツモトは、そこが一番心に響きました。なんとなく暗~いムードに包まれっぱなしの日本ですが、今こそ彼らの足跡から学ぶものは多いのではないでしょうか。
◆常設展も必見。お宝ザクザク!
さて、ここに来たならば、コレクション展だけ見て帰るのはもったいない! ぜひとも常設展もゆっくり楽しんでみてください。常設展スペースで、真っ先に目に飛び込んでくるのがコレです。「コレクションタワー」。
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タワーは全部で4基あり、デザインミュージアム所蔵のアメリカン・アール・デコ・コレクションから約100点が常時展示してあります。写真じゃわからないと思いますが、手前のタッチパネルで見たい作品を押すと、タワーがガシャン、ガシャンと動き出し、該当作品の入ったブロックが手前にやってくるのです。これがかっこよく、楽しい!(笑) つい、何度も押してしまうことうけあいです。
その奥には「デザインタイムトラベル」コーナーがあります。20世紀を代表するデザイナーや作品を検索し、詳しく知ることができます。タッチパネルで「知りたい」と思った絵を押すと、それについての情報が飛び出してくるしくみで、感覚的に利用できるもの。じつはこのソフト、IdcNが独自に開発したオリジナルソフトなんですよ~。これもおもしろくて、あれこれ押して遊んでしまいました。
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隣には「ヒストリカルデザイン」コーナーがあります。戦後の日本から現代までの名作ポスターが一挙に展示してあり、時代とともに変わるデザインと印刷技術、表現手段の変化(アナログからデジタルへ)などがよくわかります。この貴重なポスター群の中に、じつは横尾忠則氏がデザインしたIdcNのポスターもあるんですよ! さて、どんな作品かはぜひみなさんの目で探してみてくださいね。
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余談ながら、ところどころに置いてある休憩用のイスも、ほかにはない独創的なデザイン。疲れていなくても座りたくなっちゃいます。
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◆ミュージアムショップも要チェック!
デザインミュージアム内には、ミュージアムショップ「ケース・スタディ・ショップ」(11:00~20:00、TEL.052-243-1950)もあります。自分へのプレゼントはもちろんのこと、特別な日のギフトにもぴったりなハイセンスな家具、インテリアグッズ、オーダーラグなどを扱っています。
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ショップスペース内には、オーストリアの老舗ワイングラスメーカー、「リーデル・ワイン・ブティック名古屋店」(11:00~20:00、TEL.052-265-1227)も入っています。
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ワインは、グラスの形や大きさなどによって、香りや味わいが大きく変化するのだそう。ここでは予約をしなくても毎月の「おすすめグラス」と、他社のベーシックなグラスとで実際にワインを飲み比べて体感することができる、グラステイスティング(1回・525円)も実施しています(クルマを運転してここにやってきた人は体験できませんよ~、念のため)。専門のグラスエデュケーターがナビゲートしてくれます。
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名古屋店は約4年前にオープンし、ほぼ全種類のグラスを取り扱っているのだそう。これならワイン通へのギフトにも喜ばれそう!
ナディアパーク・デザインセンタービルの4Fには、デザインミュージアムのほか、デザインギャラリーもあり、こちらでは、ほぼ週単位で企画展が開催されています。次回は5月12日(水)~17日(月)まで、『創作ピンホールカメラとその写真展7』を開催(入場無料)。約30名のクリエイターたちがピンホールカメラそのものを制作し、さらにそのカメラで撮った写真も展示するという内容。こちらもおもしろそうです!
優れたデザインを、見て、知って、体験でき、買うこともできるスポット。ショッピングの途中にでも立ち寄れる便利なロケーションですので、ぜひとも臆せず立ち寄ってみてくださいね。
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