展覧会にもロケーションにも注目!「岡崎市美術博物館」

(取材日:2010年2月5日)

◆別名「マインドスケープ・ミュージアム」。その名の由来は...
岡崎市東部の丘陵エリア、総面積190haもの広大な敷地を持つ岡崎中央総合公園。その一角でひときわ目を引くガラス張りの建物が、岡崎市美術博物館。マツモトの周辺では、訪れた人は必ず「あそこはイイよね~」と絶賛する美術館です。
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美術館の設計は、建築家の栗生明さん。入口は観音開きの自動ドアで、初めての人はまずそこに驚いたりしますが、館内にも気になるものは多々あります。エントランスに入ってすぐ目の前に下りのエスカレーターがあり、その先に何やら背の高いオブジェを発見。
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じつはこれも収蔵作品の1つで、ベオグラード(旧ユーゴスラビア)の作家、マリーナ・アブラモヴィッチさんの『人間と精神のための椅子』。高さ9mの椅子と、人が座れるサイズの椅子とが組み合わさっています。作品紹介プレートを見ると、"椅子にすわって下さい 目を閉じて下さい 精神をときはなして下さい"とのメッセージが。そう、この椅子には実際に座ることができるんです。ぜひとも臆せず座ってみてください。

ほかにも、館内にはさりげなーくすごい作品があります。展示室前のスペースにあるこのラウンジチェアやラグは、岡崎市美術博物館の空間ディレクターでもあるインテリアデザイナー・内田繁さんが、この施設のためにデザインしたもの。ラグがあると、くつろぎ感がグンとアップしますね。
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岡崎市美術博物館は、別名「マインドスケープ・ミュージアム」。ランドスケープ=風景だから、マインドスケープは心の風景...ということかな?

「そうですね。これは造語なので、わかりにくいと思います(笑)。当館は"心を語るミュージアム"をテーマに開館し、展示や収集活動もこの基本コンセプト"マインドスケープ"をもとに行っています。バロック美術、徳川家康の生きた時代に関する資料や考古資料、郷土美術、シュルレアリスム、現代美術まで幅広く収集しています。常設展はなく、これらの収蔵品を中心に展示するテーマ展や、今回の企画展『ロシアの夢1917-1937』のように、巡回展を開催することもあります」とおっしゃるのは、同館・広報担当の澤田さん。

今回の企画展――。そうそう、これも興味津々なんです! さっそく覗きに行ってみましょう。

◆革命に躍り、翻弄されたロシア・アヴァンギャルド。企画展『ロシアの夢1917-1937』
現在、岡崎市美術博物館では、『ロシアの夢1917-1937』展を開催中(3月28日まで)。この企画展は、ロシア革命が起こった1917年からスターリン政権による史上最大の粛清が行われた1937年まで、当時活躍した"ロシア・アヴァンギャルド"と呼ばれる芸術家たちの情熱を、時代の変遷とともに追体験できるまたとない機会です。
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企画展ごとに客層は変わりますが、今回の企画展では、美術展には珍しく20~40代の男性が多いとのこと。会場内は、赤と黒をベースにした潔い配色。時代の変遷とともに作品が放つメッセージも変化していく様がわかり、ロシアの思想や歴史に興味をもつ人にとっても、貴重な内容だと思います。

マツモトはロシア語が読めないゆえ、まずは独特なデザインのかわいさだけに目が行ってしまうのですが、じつは写真左のカップには「戦いによって自分の権利を獲得せよ」、右のお皿には有名な「働かざるもの食うべからず」のスローガンが書かれています。プロパガンダが、日常生活の至る所に入り込んでいるわけですね。
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ロシア・アヴァンギャルドの芸術家たちは、1910年初頭あたりから「伝統的な芸術を捨て、新しい表現をしよう!」というムードに満ち溢れていました。その情熱が、じきに起こるロシア革命と合致。芸術家たちは政治とともに新しい国家建設を夢見て、ともに"夢"を追求します。しかし、その夢はスターリン独裁体制が築かれ、創造的な活動が制限されるようになると、はかなくも終焉を迎えます。激動の時代のなかで彼らの見た夢が、この企画展に集約されています。文字通りアヴァンギャルドで、今見てもじゅうぶん斬新な作品ばかり。硬派なデザインが多いのですが、どこか素朴なかわいさも感じられ、男性だけでなく、もちろん女性にも楽しめる内容だと思います。
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今後は、関連イベントとして「ロシア・アニメ映画上映会」もあり、こちらも楽しみ。
★2月21日(日)14:00~、『蛙になったお姫さま』(1954年・40分 監督/ミハイル・ツェハノフスキー)
★3月7日(日)14:00~、『金の鍵 ~ブラチーノの冒険』(1959年・67分 監督/イワン・イワノフ=ワノ)
※いずれも1Fセミナールームにて。定員70名(先着順)。鑑賞無料。
このほか、講演会や学芸員による展示説明会などもあるので、詳細は岡崎市美術博物館イベントページにて確認してくださいね。

会場を出たところで、特設の企画展グッズ販売コーナーを発見。図録、展覧会限定商品のポストカード、マトリョーシカグッズ、ロシアの文房具などのほか、とくに心惹かれたのが「ロシア産リンデンはちみつ」「ロシア産ジャム(黒スグリ、こけもも、ブルーベリー)」。
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「荷物が重くなっちゃうからな~」と購入を諦めたけれど、今になってすごく後悔しています。おいしそうだった。やっぱり買えばよかった...。

◆鑑賞後は、レストランとミュージアムショップにGO!
「ジャム~、ハチミツ~」と、もやもやして歩いていたけれど、「これはお腹が空いているのだ」と気づき、敷地内にあるレストランへ。駆け込んだのは、南欧風レストラン「セレーノ」です。

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毎月メニューが変わる限定20食のランチコース(1890円)もあるそうですが、マツモトはオードブル、スープ、パンorライス、メイン(魚or肉料理)、デザート、ドリンクがつく「本日のランチメニュー」(1570円)から、お肉料理をチョイスしてみました。この日は若鶏のソテーです。
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お料理はもちろんですが、見晴らしのいい高台にあるので、ここからの眺めもご馳走の1つ! このレストランも全面ガラス張りで、夜景もステキだと評判です。デートスポットとして、あるいは結婚式・披露宴会場としても人気だそうですよ。
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おいしいランチと窓からの眺めをゆっくり堪能したあとは、レストランの向かいにあるミュージアムショップ「クロスピア」へ。
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広い店内には、生活雑貨やアクセサリー、文房具、書籍など、幅広いジャンルのものがズラリ。地元の作家さんによる作品をたくさん扱っているのが特徴で、ここでしか買えないグッズも多いのです。
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人気なのは、岡崎市内のガラス工房による、廃ガラスを使った置物や、木製の動くストラップなど。カワイイ~。
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◆美術館の外には回遊式庭園が
岡崎市美術博物館の南側には、「恩賜苑」という回遊式庭園があります。"石の野外ミュージアム"と呼ばれるこの日本庭園には、石の都・岡崎の伝統工芸士が製作した燈篭や手水鉢51種類が点在しているんです。散策ルートはいくつかありますが、だいたい20~40分くらいで1周することができます。せっかくなので野外アートも楽しみつつ、歩いてみることにしました。
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恩賜池には、カモや鯉がゆったりと遊んでいます(写真左)。散策路の雰囲気は、こんなかんじ(写真右)。途中にはいくつかあずまやもあり、疲れたらのんびり景色を眺めることもできます。
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散策路の途中に燈籠が点在しています。ちなみにこれは、「利休型石燈籠」。横の案内板を見ると、「波型の笠、膨らみをもった火袋などに特色が。千利休好みの燈籠と伝えるが定かではない。」とのこと。定かじゃなくても、利休型と命名しているところがいい(笑)。
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などと勝手にウケながら、てくてく歩くこと約10分。頂上のあずまやに着きました。うひゃー、気持ちいい! 美術館があんなに小さく見える~(写真左)。そして、その反対側には低い山に囲まれた岡崎の町が(写真右)。ああ、ここまで登ってみてよかった...。恩賜苑のほか、美術館周辺には4つのオブジェや霧の広場、カスケードなどがあります。時間が許す限り、美術館外のアートや自然を、ぜひ楽しんでみてくださいね。
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3月28日(日)までの『ロシアの夢1917-1937』展終了後、4月3日(土)からは『近代日本画に見る女性の美 ―鏑木清方と東西の美人画―』展がスタート(5月16日まで)。春爛漫、こちらも心が華やぎそうな、楽しみな企画展です。いつお出かけしても、四季折々のアートが室内でも室外でも楽しめる岡崎市美術博物館。これからの季節、ドライブやピクニックの途中に立ち寄るのもオススメですよ。


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