古い町並みと、お雛様を愛でにいく。足助「中馬のおひなさん」

(取材日:2010年2月7日)

◆江戸から現代まで。代々伝わるお雛様を一般公開
2月6日から、豊田市足助町の町並み一帯で「中馬(ちゅうま)のおひなさん」が始まっています。足助町の新町から新田町を通る伊那街道(飯田街道)――別名・中馬街道沿いの民家や商家約130軒が、こぞって一家に代々伝わるお雛様をお披露目してくれるイベントです。約1か月の間、古く情緒ある町並み散策をしながら、個性ある土びな(土人形)・衣装雛などを見て回ることができます(2010年3月7日まで)。
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中馬のおひなさんを見に行くならば、まず入手してほしいのが「中馬のおひなさんマップ」。会場付近に行くとあちこちに置いてありますが、足助観光協会ホームページにも掲載されています。

マップを入手したら、さっそくおひなさん巡りに出掛けましょう。マップに載っているすべての場所を回ってみたいけれど、案外開催地は広く(足助城にもあるのです)、全制覇は徒歩だとちょっと厳しいかも......。中馬のおひなさん初心者のマツモトは、今回、お雛様が集中している新町から新田町までの中馬街道だけに絞ることにしました。まずは、新町からスタート!

◆新町で、変わり雛「竹雛」作者の正体にビックリ! 
新町の端っこから、東へ向かって歩き出すとすぐに、「竹雛展示中」の看板を発見。んん? 竹雛~?? それはいきなり珍しい。と、さっそく中を覗かせていただくと......
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竹でできた、立派なお雛様の五段飾りを発見(写真右側)。左側には土人形のお雛様(土びな)が飾られています。でもやっぱり気になるのは、オリジナリティ溢れる竹雛。よく見ると、最上段には "白羽の矢"が飾られ、2段目には弓を引く人の姿がありますね。

「これは本業の合間に私が遊びでつくったものなんですよ」とおっしゃるのは、ここ、「いろは竹工所」のご主人・鈴木武夫さん。じつは鈴木さん、お話を伺うと、今や全国でも20名ほどしかいない矢師の1人で、豊田市の無形文化財にも指定されているスゴイお方。矢師だけではなく、釣り用の竹竿をも作る竿師も兼ねていらっしゃいます。竹雛が飾ってある隣のお店には、鈴木さんが本業で作った矢や竿が所狭しと並んでいました。
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「いやいや、恥ずかしいから」とお顔写真を断られてしまったのが残念ですが、足助のお雛様や足助と弓との深い関係、歴史など、興味深いお話をたくさん聞かせてくださった鈴木さん。今度は職人さんとしてのお話を伺いに、また会いに行きたいなあ。

鈴木さんをはじめ、お雛様を見せてくださる方々は、みなさんフレンドリーです。お雛様をきっかけに始まるほのぼのした会話も、このイベントの魅力の1つだと思います。

西町へと向かう途中の民家の軒先では、こんなかわいらしいお雛様が待っていましたよ。
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◆お雛様を訪ねて、西町から再び新町へ
本当はすべてのお雛様を紹介したいところなのですが、エンドレスになってしまうので、おもなお雛様を駆け足でご紹介いたしましょう。

まずは、西町「足助交流館」の様子。ここでは徳島県勝浦町から贈られた豪華絢爛のお雛様を見ることができます。徳島県勝浦町では、家庭で飾られなくなった雛人形を全国から集めて供養し、約3万体もの雛人形を展示する「ビッグひな祭り」というイベントを毎年開催しているのですが、足助町とも交流が深いため、こうした展示が実現したのだそう。見てみると、たしかにあっさり廃棄してしまうなんてもったいない、歴史的価値あるお雛様がズラリ。
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新町のちょうど真ん中にある「新町郷蔵」には、普段山車の道具などが収納されている場所ですが、今だけはここにもお雛様が。
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新町と本町の間には、黒い板壁と漆喰(しっくい)の小道、「マンリン小路」があります。お雛様めぐりの合間に、ぜひこんな情緒溢れる場所にも寄り道してみてくださいね。
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◆もち花体験、土びな――本町のお雛様めぐり
新町から歩を進めて本町へ。本町に入ってすぐ、白やピンク、うぐいす色の、かわいいもち花を発見しました。玄関先には「もち花をつくってみませんか?」の文字が。ここは1本300円、約20分で自分だけのオリジナルもち花が作れるお宅で、おもに家族連れに大人気。
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その先、「本町区民館」は土びな会場になっています。土びな(土人形)とは、江戸時代末期から戦後間もない頃まで西三河の沿岸部でつくられていた郷土玩具で、土の上に色鮮やかな彩色をほどこした、素朴なあたたかみを感じる人形。足助には、この土びなが多く残っている点も特徴です。モチーフは武将や歌舞伎、七福神などさまざまで、一体一体表情が豊かなので、見ていて飽きません。
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そのお隣には、昔のままの佇まいを残す平入り型の商家が(田口家・写真左)、何軒か先には明治時代に旅館だった「三嶋屋」があります(写真右)。お雛様も素敵ですが、このあたりは古い町並み自体が絵になるし、とってもいいかんじ。
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「三嶋屋」の少し先には、和菓子屋さんの「加東家」があります。もとは作り酒屋さんだったという昔ながら佇まいや、お座敷に飾られたお雛様......こちらも風情があってステキです。
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日曜日・祝日は、この街道が歩行者天国になります。車を気にせずそぞろ歩きをしていると、まるで古い時代にタイムスリップしたかのよう。なんだか着物で歩きたくなっちゃいます。

◆いよいよ後半。田町、新田町へ
田町には、記念撮影スポットが2か所あります。写真左は豊田信用金庫足助支店前のおひなさん写真パネル。写真右は「体重200kgくらいの人までたぶん平気」と書かれた足助馬の中馬人形。余計なことだけど、おひなさん写真パネル、なんでお内裏様のほうが顔サイズ小さいんだろう...。
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そして、豊田信用金庫の斜め前に「足助名物 シシコロッケ」の看板発見。1つ130円。クセがあるのかと思いきや、ひたすらホックホクでおいしかった! 小腹が空いたら、散策途中のおやつにオススメです。
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その先には、「中馬館」があります。ここは旧稲橋銀行足助支店の社屋で、愛知県の指定有形文化財でもある、大正時代の建物。ふだんは商業・金融・交通・町並みに関する資料展示をしている資料館ですが、ここにもお雛様が展示されています。......金庫の中にまで。
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ちなみに右の写真のように、最上段に御社・御殿が付いているお雛様は「御殿雛」「館雛」と呼ばれます。昭和43年くらいまでは、こうしたお雛様が作られていたそうです。

さて、最後の会場、新田町に入ります。この交差点の雰囲気も、とってもレトロ。
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最東端のお茶屋さん「松美屋」まで到着すると......なんだか人だかりが。どんなお雛様が飾ってあるんでしょう?
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これは大きなお雛様! しかも時代も古く、江戸末期のものだそうです。
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長い時代を経て傷んではいますが、この衣装は現代にはない渋い柄と色合い。最東端まで歩いてきた甲斐がありました。とはいえこの伊那街道のイベント会場、端から端まで歩いても、疲労困憊する距離ではありません。のんびり散策を楽しみましょう。

◆今後はこんな催しも開催!
「中馬のおひなさん」開催期間中は、さまざまな催しも予定されています。おもなものを紹介すると――

●土びな絵付け実演
内容/三河大浜土人形作家の禰宜田徹さんによる絵付けの実演。
日時/2月20日(土)、21日(日)、27日(土)、28日(日)、10:00~16:00頃まで(随時)
場所/本町区民館

●絵てがみコンクール
内容/おひなさんをテーマに大人の部、小人の部に分けて絵手紙を募集。
応募期間/3月7日(日)まで
問い合わせ/足助交流館 TEL..0565-62-1251
※期間中の土・日・祝日のみ、足助交流館にて絵てがみの制作もできます(有料)。
送付先などの詳細は、足助交流館、もしくは足助観光協会ホームページにてご確認ください。

中馬のおひなさんは今回で第12回目を迎えますが、昨年から、夜間の灯りイベント「ほのか」もスタートしました。写真は、昨年の「ほのか」の様子です(画像提供:足助観光協会)。
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●ほのか
内容/北海道の流氷の「アイスキャンドル」から沖縄の琉球ガラスを使ったランプシェードの「琉球の灯び」まで――全国の個性ある灯りとともに楽しむ、音楽と夜のおひなさん。
日時/2月13日(土)、17:00~
場所/新町 小松邸駐車場

ほかにも毎年、サプライズ的に突如始まるイベントがあるのだとか。ぜひともこの機会にお雛様と古い町並み、両方を目いっぱい楽しんでみてくださいね。


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