碧南市藤井達吉現代美術館」で、達吉翁の魅力にメロメロになる。

(2009年11月3日)

◆碧南市生まれの工芸家、藤井達吉とは?
『碧南市藤井達吉現代美術館』は、2008年4月にオープンした、比較的新しい美術館。碧南市出身の工芸家・藤井達吉の作品を中心に、企画展や常設展を開催しています。建物は旧商工会議所をリノベーションしたものです。
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このあたりは黒壁の九重味淋大蔵をはじめ、神社仏閣も多く集まる、レトロムード漂う場所。周囲の風景に違和感なく溶け込むよう美術館の外壁も黒壁になっていて、よくありがちな"ここだけ浮いた感じ"がしません。
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ところで藤井達吉について、みなさんはよくご存知でしょうか?
私は偶然見ていた『開運!なんでも鑑定団』でその作品が紹介されるまで、未知の存在でした。

藤井達吉――明治14(1881)年生まれ、昭和39(1964)年、83歳にて没。
藤井達吉は、これまであまり大きくクローズアップされることがなかった作家です。24歳のときに勤めていた七宝店を退職し、上京。このときから美術工芸家としての道を歩み始めます。明治終盤~大正時代にかけては積極的に複数の前衛的なグループに参加し、高村光太郎らとも親交を深めました。時代の最先端で、七宝、金工、木工、染織、漆工、陶器など、さまざまなジャンルにおいて型にとらわれない独創的な工芸作品を残した達吉。そのすべては独学によるものだったというから驚きです。しかしその一方で、大きな展覧会には出品せず、画商に売り込むこともしなかった達吉。結果、美術史にもあまり記録が残ることがなく、彼自身も徐々に中央(東京)から離れていきます。晩年にかけては地元に戻り、小原の和紙工芸や瀬戸の陶芸において、後進の育成に励みました。

ちなみにこれが晩年の藤井達吉翁(銅像)。美術館エントランスで出迎えてくれます。なんだかやさしそうな翁です。
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「愛知県内では"詳しくはよくわからないけど、東京でえらく活躍したらしい小原和紙の先生、瀬戸の陶芸の先生"として知名度が高かったようです(笑)。東京で活動をしていた当時は美術工芸家として評価され、有名だったのですが、自ら第一線を退いてしまった。そのため、ほぼ忘れ去られた存在となっていました。それが近年になって"近代の日本美術史を見直そうと"いう動きがあり、細かく史実を洗い出していくと、必ず藤井達吉の名が登場する。そういったところから、徐々に達吉の功績が明らかになってきたんです」とおしゃるのは、学芸員の土生(はぶ)和彦さん。
達吉翁、もしかしたら本格的に注目されるのは、これからなのかもしれません。

◆画家としての達吉翁も、スゴイ!
2010年1月11日までは、企画展『画家としての藤井達吉』が開催されています。
工芸家として評されることの多い藤井達吉ですが、じつは創作のジャンルは工芸のみにとどまらず、広く、絵画・デザインの分野にも及んでいるのです。......いやいや、多才すぎませんか? 達吉翁。
企画展スタートの初日に、さっそくお邪魔してみました。企画展開催中は、館内すべての展示室がその内容に様変わりします。
(※注 特別に許可をいただいて撮影させていただきました。通常は撮影不可です)
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印象派を思わせる初期の油彩作品にはじまり、素朴な山野草・草花から虹、果ては土星までを描いた日本画作品、水や炎、扇子をモチーフにした屏風絵、紙・布・顔料・箔・螺鈿を駆使してモチーフを描き、和歌を書き付けた"総合芸術"継色紙、果ては山を描いた晩年の水墨画まで...。どの時代のどの作品に向き合っても、味わい深い! ついついじっと眺めこんでしまう魅力があります。
ささやかに花をつける小さな草花をも丁寧に慈しんで描いているし、絶筆の水墨画作品は、病室で自分の髭を筆にして描いているし、日本画で土星をモチーフにした人なんて、私は初めて見たし。やっぱりただ者じゃないです、達吉翁! 
すっかりファンになってしまい、図録を購入してしまいました。メロメロです。
 
◆作品鑑賞後は館内カフェでまったり
館内1Fには『喫茶むぎの家』があります。作品鑑賞を終えて時計を見ると、ちょうどお昼時だったので、ここでランチをとることにしました。
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ここは、同じ碧南市内にあるパン工房『むぎの家』の直営店。石窯で焼き上げる自家製天然酵母パンが、身体にやさしく、噛めば噛むほど甘みが広がると評判のお店です。『喫茶むぎの家』では、このパン工房でつくられたパンと、吟味した自然食品が素材の安心できる料理、おいしいお茶を楽しむことができます。2面がガラス張りで、2階まで吹き抜けの開放感あふれるお店。天井には新宮晋さんの黄色いモビール作品『光のこだま』が、ゆらゆらと遊んでいます。
お店の入り口に掲げられているメニュー前でしばらく迷ったものの、この日は寒かったので、『ミレットベジランチ』(1050円)を注文。
しばらく待つと、じゃーん、やってきました。おいしそうなプレートランチが!
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日替わりのミレット(雑穀)スープと、サラダ、小鉢、パンもしくは玄米、デザート、ドリンクつきで1050円。パンは、木の実入りのパンと食パンの2種が乗っていました。素材はすべて、野菜など、植物性の食品のみを使用してます。ちなみに企画展の図録も、ここで販売しています。

碧南市藤井達吉現代美術館のある大浜地区は、てらまちとも呼ばれ、のんびり散策するのも楽しい場所。お散歩の途中に、ぜひ達吉翁に会いに行ってみてくださいね。


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