(取材日2009年10月31日)
さて「まちなか」に注目しないと、この映画祭の面白さは取材したことになりません。
期間中、豊橋市内の店舗が「まちなかスピンアウト」と称して、数々の特別メニューで映画祭を盛り上げます。
事務局の企画理事を務める堀場さんにお願いして、何店か紹介していただくことになりました。さらに同行者が一人。豊橋ケーブルネットワーク「ティーズ」の山口さん。重いテレビカメラを背負いながら、笑顔ですいすい歩きます。街に詳しい女性2人に連れられ「まちなか取材」スタートです。
最初の店は「ボレロ吾妻屋」。
ここでは上映作品にちなんだアラカルト料理が食べられます。その名も「ボレロのシネマ厨房へようこそ」。
左上は「ゴッドファーザー・パートⅡ」にちなんだイタリア料理。「イワシのマリネ、シチリア風」。イタリアの居酒屋では、お馴染みのメニューとのこと。
続いてドイツ、トルコを舞台に3組の親子の旅路を描いた映画「そして私たちは愛に帰る」からイメージしたトルコ料理を2品。左下は挽肉、ピーマン、オニオンのトルコ風ピザ「ラフマジュン」。右上はトルコを代表する串焼き料理「シシュケバブ」。三河産の鶏肉を使っています。
右下は「ムール貝とポロ葱のシードル&クリーム煮、ブルターニュ風」。映画「シェルブールの雨傘」の舞台、フランス・ブルターニュ地方の料理です。名物ムール貝とリンゴの発泡酒シードルがとてもよく合います。
期間中、楽しめるメニューは12種類。映画に合わせる縛りは大変かと思い、店主の伊藤さんに聞いてみました。
「よくお客様のリクエストに合わせて料理を作るので、大丈夫です」とさすがの答え。
感心する記者に「私も映画祭の実行委員なので、どんな作品が上映されるか早めに予想できるんです。十分にアイデアを練る余裕はありますよ」と笑顔で教えてくれた。
それでも、今回のメニューに合わせて普段は入荷しないお酒を取り寄せるなど、料理の裏には大変な努力があるのです。
美しい盛り付けはカメラに収めましたが、ここは味もレポートしたいもの。料理を見つめる記者らに「どうぞ食べてください」の一声。遠慮せず手を伸ばす取材チーム3人。
ムール貝、イワシ、鶏肉、どれもこれも美味い。
しかし次の店も待っていてくれるので、行かねばなりません。
続いて「スパゲッ亭チャオ本店」。
堀場さん曰く「県外に引っ越した人も、たまに食べに帰ってくる地元の味」とのこと。
ここでは「チャップリンセット」が食べられます。
チャップリンの代表作「黄金狂時代」をイメージした「黄金焼スパゲティ」。そしてほうじ茶味のプリン、その名も「お茶プリン」。
お茶プリン――、オチャプリン――、チャップリン。パチパチパチ(←これは拍手の音と、鉄板の上で湯気を上げるスパゲッティの音です)。
急いで撮影し、再び料理に群がる記者達。
そもそも卵とスパゲッティの相性がいいのは、愛知県人なら周知の事実。ゴールデンコンビです。昨年のお茶プリンは紅茶味だったとのこと。「日本茶の魅力を残しつつ、プリンとして仕上げるのが大変だった」とシェフ。紅茶バージョンも食べている堀場さんは「今年のも美味しい」とほくほく。女性陣がプリンに気を取られている隙に、記者はスパゲティに集中。皆さんは火傷しないよう、落ち着いて食べてください。映画祭限定にするのは、もったいないメニュー。「来年もやります」と答えてくれたので、記事に書いておきます。
味の取材に力を入れたせいか、時間が押してきました(各店の皆様、本当に申し訳ありませんでした)。
夕暮れも近づいた豊橋市街。ここからはお酒のメニューに注目します。
訪れたのは「広小路でんでん」。
和の味覚に舌鼓を打つならこの店。
ここでは美しい自然と力強く生きる人々を描いた映画「山桜」にちなんだメニュー「山桜セット」が楽しめます。
きりりと冷えた福島県の銘酒「山桜」。その味を引き立てる刺身、おでんなど。
やはり飲んでみなければいけません。
刺身、ちくわ、あぶったイカ、おでん。温度と食感の違う料理で、ついつい一口ごとに冷酒に手が伸びます。映画を見た後は、ぜひこのカウンターで飲んでください。
最後はおしゃれなバー「IROHA(いろは)」。
俳優や映画をイメージしたオリジナルカクテル「スタアのカクテル」を飲むことができます。
作ってくれたのは女性バーテンダーの藤本さん。シェイカーを振る姿がかっこいい。映画にちなんだカクテルは世界中にたくさんあるので、新たにオリジナルを作る時は悩むそうです。「カクテルを作りにくい映画は?」と聞くと「戦争映画」との答え。なるほど。
左から。俳優をイメージした「ケーリー・グラント」「オードリー・ヘップバーン」「チャーリー・チャップリン」「カトリーヌ・ドヌーブ」。そして作品をモチーフにした「マルタのやさしい刺繍」「山桜」です。
この店が最後の取材。全て飲んでみます。
「シャレード」で共演したグラントとヘップバーンのカクテルは、ブランデーベース。大人っぽい味のグラントに対して、ヘップバーンはグラスの縁にココナッツをリンスしているため甘い口当たり。
チャップリンはジンベース。口をつける前にフッと鼻に届く香りがいいのです。
ドヌーブは藤本さんが「シェルブールの雨傘」で見た華麗な衣装を、サーモンオレンジのカクテルで再現。
「マルタ~」はおばあちゃん達が大活躍する映画。年配の方に人気のバイオレットフィズを使っています。とても飲みやすい1杯です。
こちらの「山桜」は焼酎ベース。日本通のフランス人俳優ジャン・レノさんが、母国で発売した焼酎とのこと。美しい桜色とヨーグルトの風味を目と舌で楽しんでください。
同じ映画でも、お店によって違うアプローチ。「でんでん」は冷酒を美味しく飲める粋なセット。「IROHA」は映画のイメージを1杯のカクテルで表現。お酒好きは飲み比べてほしいものです。
「IROHA」を出ると、外はすっかり夜。堀場さん、山口にお礼を言って、別れる。
取材の結果、記者が発見したこと。「まちなかスピンアウト」を楽しむと、歩くスピードが「スロータウンモード」になります。
上機嫌の記者は、映画ポスターの下をスキップ(のような動き)をしながら、豊橋駅へ向かうのでした。
関連記事























