(取材日2009年10月31日)
今、豊橋市街でユニークな映画祭が行われています。その名も「とよはしまちなかスロータウン映画祭」。今回で第8回を迎えました。
チャップリンの喜劇、ヘップバーン、吉永小百合ら美しき名女優たちの傑作から、V6岡田准一主演の新作まで、新旧和洋取り混ぜた映画15本を約1ヶ月かけて上映しています。
期間中、俳優宇津井健さんのトークショーや、女流活弁士佐々木亜希子さんの活弁上映などイベントもいろいろです。
映画上映のメーン会場になる名豊ビル。スクリーンは8階です。
実行委員会事務局長の石川さんが「スロータウン」とは「文化・娯楽を媒体に、市民が集い、楽しみ、繋がる空間」と教えてくれました。
「映画は世界共通の文化で、老若男女が世代を超えて感動を分かち合えるもの。豊橋のまちなかを、人々の交わる心癒される場所、良質な時間を過ごせる空間にしていこうという思いから始まった映画祭です」
かつては10を越える映画館で賑わっていた豊橋の街。しかし相次ぐ閉館で2001年には市街に映画館が無くなってしまったそうです。
「閉館はしましたが上映スペースや映写機は残っていました。映写技師の方も健在だったので、街の中での映画イベントが実現しました」
上映作品集めは、市内の企業に「1社1本」のフィルム代を協賛してもらう「フィルムスポンサー」を考案。魅力的なラインアップを揃えることに成功した。
「多くのスポンサーの協力で、今回も1本500円(当日券800円)、12作品の通し券2000円という低価格。街ぐるみで取り組んでいるからこそ、できることです」
第2回からは上映作品の希望を市民の投票で募集したり、商店街とのコラボレーションなどがスタート。市民の熱意で街のイベントとして定着していった。
石川さんにお願いして上映会場を見せていただきました。
オードリー・ヘップバーンの名作「シャレード」が終わり、「ニライカナイからの手紙」の熊澤尚人監督が岡田准一主演で撮った新作「お・と・な・り」の客入れが始まるところ。
スクリーン、音響、映写スペース、客席と見て回る。面白かったのは映写機の位置。客席の後方部分に暗幕で囲まれた映写室があり、その中には2台の映写機が。
映写を担当するのは出張映写や長編オペラの上映会などで活躍する名古屋の会社「シネマ雄」の松浦さん。
「客席の真ん中から映写するのは緊張しますが、ここまで準備してくれた映画祭スタッフの苦労を無にしないように、しっかり映します」と頼もしい言葉。
現在、豊橋で映画を楽しむためには、郊外のシネコン「ユナイテッドシネマ豊橋」が利用できます。
「市民が多くの映画を見られるよう、ユナイテッドさんは努力していますが、1館の頑張りでは限界があります。旧作名画の上映やミニシアター系の作品など、東京の映画ファンと同じ作品数を見ることは難しい状況です。理想は1年中、上映する施設があることが望ましいですが、とにかく年に1度の1ヶ月間でもいいので、街の中心に市民が集まり、映画を楽しもうという思いが、この映画祭を継続させています」と石川さん。
これからも「人々が楽しめる場の提供」という最初のテーマは忘れずに運営したいと意気込みを語った。
客席が一杯になり、いよいよ上映開始。一緒に見たいところですが、記者は次の取材へ。
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